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生活習慣の乱れが招く女性の薄毛
健康で美しい髪は、健康な体という土壌からしか生まれません。私たちの日常の何気ない「生活習慣」の乱れが、知らず知らずのうちに、その大切な土壌を痩せさせ、薄毛や抜け毛という、悲しい結果を招いている可能性があります。特に、忙しい現代女性が陥りがちな、いくつかの悪しき習慣は、髪の健康にとって、まさに天敵と言えるでしょう。まず、最も深刻な影響を与えるのが、「過度なダイエット」と「偏った食生活」です。髪の毛は、その99%が「ケラチン」というタンパク質でできています。食事からのタンパク質の摂取量が不足すれば、体は、生命維持に不可欠な臓器へ、優先的に栄養を供給するため、髪の毛への栄養は後回しにされてしまいます。また、タンパク質を髪の毛へと合成する過程で不可欠な「亜鉛」や、頭皮の血行を促進する「ビタミン類」、そして、ホルモンバランスにも関わる「鉄分」といった、ミネラルやビタミンの不足も、髪の成長を著しく妨げます。次に、「睡眠不足」も、髪にとっては大敵です。髪の毛は、私たちが眠っている間、特に、入眠後3時間の間に最も多く分泌される「成長ホルモン」の働きによって、細胞分裂を繰り返し、成長します。慢性的な睡眠不足は、この成長ホルモンの分泌を妨げ、髪の成長をストップさせてしまうのです。そして、「ストレス」もまた、薄毛の大きな引き金となります。強いストレスは、自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させます。これにより、頭皮の血行が悪化し、毛根に十分な酸素と栄養が届かなくなるのです。また、ストレスは、ホルモンバランスの乱れにも直結します。さらに、「喫煙」や「過度な飲酒」といった習慣も、血行不良や、髪の成長に必要な栄養素の吸収を妨げるため、薄毛を助長する要因となります。これらの生活習慣は、一つひとつは些細なことかもしれません。しかし、その積み重ねが、あなたの髪の未来を、静かに、しかし確実に蝕んでいくのです。
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フィナステリドとデュタステリドの効果の違い
AGA治療における二大内服薬、「フィナステリド(プロペシア)」と「デュタステリド(ザガーロ)」。この二つの薬は、どちらも5αリダクターゼの働きを阻害するという点では同じですが、その作用の仕方に、決定的な違いがあります。そして、その違いこそが、両者の効果の差を生み出しているのです。その鍵を握るのが、前述した「1型」と「2型」の5αリダクターゼです。まず、AGA治療のスタンダードとして、長年にわたり使用されてきた「フィナステリド」は、「2型5αリダクターゼ」の働きを、選択的に阻害する薬です。AGAの主な原因である、前頭部と頭頂部の毛乳頭に多く存在する2型酵素の活動をブロックすることで、脱毛ホルモンDHTの生成を抑制し、薄毛の進行を食い止めます。しかし、フィナステリドは、皮脂腺に多く存在する「1型5αリダクターゼ」に対しては、ほとんど影響を与えません。一方、より新しい治療薬である「デュタステリド」は、フィナステリドとは異なり、「1型と2型の両方の5αリダクターゼ」を、同時に、そして強力に阻害する作用を持っています。これにより、デュタステリドは、フィナステリドに比べて、血中のDHT濃度を、より大幅に、そして強力に低下させることができるのです。臨床試験のデータにおいても、デュタステリドは、フィナステリドに比べて、発毛効果(毛髪数の増加量や、毛の太さの改善度)が、約1.6倍高いという結果が報告されています。そのため、デュタステリドは、フィナステリドで十分な効果が得られなかった場合の「次の選択肢」として、あるいは、より積極的な発毛効果を求める場合に、処方されることが多いです。ただし、効果が高い分、副作用(性機能障害など)のリスクも、フィナステリドよりわずかに高まる可能性が指摘されています。
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私のAGA治療、フィナステリドからザガーロへ
私が、AGA治療のためにクリニックの門を叩いたのは、30代の終わりのことでした。生え際の後退は、もはや見て見ぬふりができないレベルまで進行していました。医師の診断のもと、最初に処方されたのは、最も標準的な治療薬である「プロペシア(フィナステリド)」でした。飲み始めて3ヶ月ほどで、初期脱毛を乗り越え、抜け毛の量が明らかに減ってきたのを実感しました。半年が過ぎる頃には、生え際に産毛が生え始め、薄毛の進行が、確かに食い止められているという手応えを感じていました。私は、その効果に満足し、その後も、約2年間にわたって、フィナステリドの服用を続けました。しかし、2年が経過したあたりから、私の心の中に、ある種の「停滞感」が生まれ始めました。確かに、抜け毛は減り、現状を維持できてはいる。しかし、そこから先、髪がさらに増えたり、太くなったりするという、劇的な改善は見られない。むしろ、少しずつ、また後退しているような気さえする。私は、現状維持ではなく、もっと積極的な「改善」を望んでいました。その想いを、かかりつけの医師に相談したところ、提案されたのが、「ザガーロ(デュタステリド)」への切り替えでした。医師は、1型と2型の5αリダクターゼの違いと、デュタステリドが両方を阻害することで、より強力な効果が期待できることを、丁寧に説明してくれました。副作用のリスクも少し上がるとのことでしたが、私は、改善への期待を込めて、切り替えを決断しました。ザガーロを飲み始めて、3ヶ月が経った頃。私は、明らかな違いを感じ始めました。フィナステリドの時にも生えていた産毛が、明らかに、より黒く、そして太く、力強くなっているのです。そして、半年が過ぎる頃には、これまで地肌が透けて見えていた生え際の密度が、明らかに増していました。美容師さんからも、「髪、しっかりしてきましたね」と言われるようになったのです。もちろん、これは、あくまで私個人の体験です。しかし、フィナステリドで効果が頭打ちになったと感じていた私にとって、デュタステリドは、まさに「次の一手」として、確かな希望を与えてくれました。