女性にとって髪の毛は美しさの象徴であり命とも言える大切なものですがある日突然ブラシに絡まる抜け毛の量が異常に増え髪全体のボリュームがなくなりパサパサと乾燥して艶を失ってしまうという悲劇に見舞われたときその原因が実は首元の小さな臓器である甲状腺の病気にあるかもしれないという事実を知っている人は意外と多くありません。甲状腺は喉仏の下あたりにある蝶の形をした臓器で全身の代謝を司る甲状腺ホルモンを分泌していますがこのホルモンのバランスが崩れる病気は圧倒的に女性に多く20代から40代の働き盛りの世代や更年期の女性に頻発するため単なる疲れや老化と勘違いされやすく発見が遅れるケースが後を絶ちません。甲状腺の病気にはホルモンが過剰に分泌される甲状腺機能亢進症いわゆるバセドウ病と逆にホルモンが不足する甲状腺機能低下症いわゆる橋本病の二つが代表的ですが驚くべきことにこれらはどちらも脱毛という症状を引き起こす共通点を持っています。バセドウ病の場合は新陳代謝が異常に活発になるためヘアサイクルが極端に早まり髪が十分に成長する前に抜け落ちてしまうだけでなく常に汗をかいて頭皮が蒸れやすくなったり皮脂分泌が増えて脂漏性皮膚炎を併発したりすることでも抜け毛が加速します。一方の橋本病では代謝が低下するため全身の細胞の活動が鈍くなり毛母細胞の分裂も停滞してしまうことで髪が作られなくなり今ある髪も細く弱くなって抜けやすくなるほか皮膚が乾燥して頭皮環境が悪化することも脱毛の要因となります。これらの病気による抜け毛の特徴は頭髪全体が均一に薄くなるびまん性脱毛であり円形脱毛症のように一部が抜けるわけではないため「最近髪が少なくなった気がする」という程度の認識で過ごしてしまいがちですがもし抜け毛に加えて動悸や手の震え異常な発汗食べているのに痩せるといった症状があるならバセドウ病を寒がりになって浮腫みやすくなりやる気が出ない体重が増えるといった症状があるなら橋本病を疑う必要があります。治療に関しては皮膚科での育毛剤などでは根本的な解決にはならず内分泌内科を受診して血液検査でホルモン値を測定し投薬治療によって甲状腺の機能を正常に戻すことが唯一の解決策となります。幸いなことに甲状腺疾患による脱毛はホルモンバランスが整えばヘアサイクルも正常に戻り再び健康な髪が生えてくることがほとんどであるため原因不明の抜け毛に悩む女性は一度甲状腺の検査を受けてみることが推奨されます。
女性に多い甲状腺の病気が引き起こす原因不明の脱毛