筋力トレーニングと切っても切れない関係にあるのが、プロテインをはじめとするサプリメントです。効率的に筋肉をつけたいトレーニーにとって、タンパク質を補給するプロテインは必需品とも言えます。しかし、AGAを気にする人の中には、「プロテインを飲むと薄毛が進行するのではないか」と心配する声も聞かれます。この疑問に答えるためには、まずプロテインの主成分であるタンパク質が、髪の毛の主成分でもある「ケラチン」というタンパク質からできているという基本を理解する必要があります。つまり、良質なタンパク質は、筋肉だけでなく、健康な髪を作るためにも不可欠な栄養素なのです。そのため、一般的なホエイプロテインやカゼインプロテインを摂取することが、直接的にAGAを悪化させるという科学的根拠は存在しません。むしろ、過度な食事制限などでタンパク質が不足すれば、髪は栄養不足に陥り、薄毛を助長する可能性すらあります。ただし、注意すべき点が二つあります。一つは、大豆を原料とするソイプロテインです。大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンであるエストロゲンに似た働きをし、AGAの原因であるDHTを抑制する効果が期待できるという研究報告があります。そのため、ソイプロテインはAGAに対して、むしろポジティブな影響を与える可能性があります。もう一つ、最も注意すべきなのが、一部の海外製品に含まれている可能性のある「アナボリックステロイド」などの筋肉増強剤です。これらの禁止薬物は、強制的に男性ホルモンを増加させるため、AGAのリスクを劇的に高めることが知られています。信頼できるメーカーの、国内で正規に流通しているプロテインを選び、成分表示をしっかり確認する限り、プロテインの摂取を過度に恐れる必要はありません。正しい知識を持ち、賢くサプリメントを活用することが、筋肉と髪の両方を守る鍵となります。
プロテインの摂取はAGAに影響を及ぼすのか