薄毛の悩みを持つ患者の中には単に髪が薄くなるだけでなく頭皮が赤く炎症を起こしていたり大量のフケが出たり激しい痒みに悩まされていたりするケースが少なくありませんがこうした頭皮トラブルを伴うAGAの治療においてこそ皮膚科専門医の真価が発揮されます。AGAは男性ホルモンの影響によるヘアサイクルの乱れが主原因ですが頭皮環境が悪化していると毛根に十分な栄養が行き渡らず発毛が阻害されるだけでなく炎症によって毛包がダメージを受けて抜け毛が加速するという悪循環に陥るリスクがあります。特に多いのが脂漏性皮膚炎との合併でありこれは皮脂の過剰分泌と常在菌であるマラセチアの増殖によって引き起こされる湿疹ですが一般の育毛サロンや自己流のケアではこの病的な炎症を鎮めることは難しくむしろ刺激の強い育毛剤を使用して症状を悪化させてしまうこともあります。皮膚科ではまずダーモスコピーを用いて頭皮の状態を詳細に観察しAGAの所見と炎症の程度を見極めた上で優先順位をつけて治療を行いますが多くの場合まずはステロイドの外用薬や抗真菌薬を用いて頭皮の炎症を治療し土台となる頭皮環境を健全な状態に戻してからあるいは並行してAGA治療薬の内服を開始するというアプローチが採られます。また頭皮の痒みは患者にとって大きなストレスとなり無意識に頭を掻いてしまうことで物理的に髪を抜いてしまったり傷つけたりすることもあるため痒み止めの内服薬を併用することでQOLを改善し治療への集中力を高めることも皮膚科ならではの配慮です。さらにアトピー性皮膚炎や乾癬といった慢性的な皮膚疾患を持っている患者がAGAを発症した場合もそれぞれの病気の治療薬との飲み合わせや頭皮への影響を考慮しながら慎重に治療計画を立てる必要がありこれは皮膚科医でなければ対応が難しい高度な領域となります。皮膚科におけるAGA治療は単に髪を生やすことだけを目的とするのではなく頭皮という臓器全体の健康を守り育むことを前提としており健康な土壌にこそ丈夫な作物が育つように健康な頭皮があって初めて持続的な発毛が可能になるという医学的な真理に基づいた包括的なケアが提供されるのです。
皮膚科だからできる頭皮トラブルを伴うAGAの診断と治療アプローチ