あれは私が35歳を過ぎた頃のことでしたがある日エレベーターの防犯カメラのモニターに映った自分の頭頂部を見て心臓が止まるかと思うほどの衝撃を受けました。そこには私の記憶にある姿とは全く異なる白い地肌がくっきりと浮かび上がった無惨な頭部が映し出されておりそれはまるで枯れた大地に一本の道が走っているかのような光景でした。それまで私は髪の量には自信があり自分に限って薄毛になどなるはずがないと高を括っていましたがその日を境に私の生活は一変し鏡を見るのが恐怖となり外出する際も人の視線が自分の頭に向けられているような気がして帽子が手放せなくなりました。私が陥っていたのは典型的な分け目ハゲであり仕事のストレスや不規則な生活そして長年同じヘアスタイルを続けていたことが原因だったようです。最初は市販の育毛剤を試したり髪に良いとされるサプリメントを飲んだりしましたが目に見える効果は現れず焦りと不安ばかりが募る日々が続きました。そんな私が本気で改善に取り組もうと決意したのは美容院で担当の美容師さんから頭皮が随分と硬くなっていますねと指摘されたことがきっかけでした。美容師さんの言葉によれば頭皮の硬さは血行不良の証拠でありこれではいくら栄養を与えても毛根まで届かないとのことでした。そこで私は徹底的な頭皮改革に乗り出し毎日のシャンプー時には専用のブラシを使って頭皮をマッサージし入浴後には育毛ローションをたっぷりと塗布して念入りに揉みほぐすことを日課にしました。また分け目を毎日変えるようにしドライヤーのかけ方も根元から立ち上げるように工夫することで物理的な負担を減らす努力も怠りませんでした。さらに食事も見直しインスタント食品ばかりだった食生活を改め納豆や卵そして海藻類など髪に良い食材を意識的に摂るように心がけました。これらを半年間必死に続けた結果ある日鏡を見たときに分け目の幅が以前よりも狭くなっていることに気づき産毛のような短い髪がツンツンと生えてきているのを発見したときの喜びは今でも忘れられません。完全に元通りになったわけではありませんが少なくとも人の目を気にせずに歩けるレベルまで回復し何よりも自分自身の努力でコンプレックスを克服できたという自信が私の心に大きな変化をもたらしました。今では分け目を目立たなくするスタイリングも上達し以前よりもヘアアレンジを楽しめるようになりました。分け目ハゲは確かにショックな出来事ですがそれは自分自身の体からのメッセージであり生活を見直す良い機会でもあります。諦めずに正しいケアを続ければ髪は必ず応えてくれるということを私は身をもって学びました。今同じ悩みを抱えている人には一人で抱え込まずまずは自分の頭皮に触れてみてほしいと伝えたいです。そこにある硬くなった頭皮を柔らかくほぐすことが未来の自分を笑顔にするための第一歩になるはずですから。
鏡を見るのが怖い私が分け目ハゲを克服した話